summer of Nagasaki

音楽好きはフェスの年号とともに歳をとる。
聞かれてもないのに年間のマイベストとか勝手に選んで自分のSNSに投稿する。
元号なんて役所の書類を書くときにしかつかわないし、毎回ググらないと覚えていないから、いまいちピンとこない「平成最後」というフレーズのついた夏が終わる。

そんな夏の終わりに、友人の結婚を祝いに遥々長崎という土地に初めて行った。
ソラシドエアで1時間半、空港を出ると両サイドは、はっとするくらい青い海と山に囲まれていてとても美しかった。

高校の頃、現代の授業で題材になっていた、遠藤周作「沈黙」や大学時代に読んださだまさしの「解夏」、佐世保は「69」の好きな小説の舞台になったいたこともあってとてもわくわくした。
空港から送迎用のバスに乗り、ハウステンボスへ。
ホテルに着き会場でせわしなく着替えや準備をして、ホテル内の式場へ。
奥さんの元同僚の友達と先輩という繋がりで10年以上仲良くさせてもらってる2人。
一緒にフジロックに行ってスコールに打たれてびしょ濡れになったり、二人暮らし時代毎年のように鍋をつついたり、今は亡きFabricaや三宿のクラブで夜を使い果たしたり、紹介制の秘密の焼肉屋に行ったり色んな思い出を思い出しながらその時間を過ごした。
2人を介して繋がった人たちと一緒に、家族であの場所に立ち会えたことがとても嬉しかった。
改めておめでとうございました。
すぐに飽きてしまうに2歳児のをあやしながらの時間でしたが、とても良い式だったと思う。

毎日21時に打ち上がるというハウステンボスの花火を見ながら行われた二次会のビンゴ大会では、なぜか一等を引いてしまうというミラクルが起きる。
僕はこの手のイベントで、一度もあたったことがなく前週から仕事でも全然いいことがなかった、この夏は喉風邪が長引いて辛かったのに、本当に人生はわからないし、神様の悪戯のようだ。
もらったApple Watchを左手に付けながら今、これを書いている。

翌日はハウステンボスから新潟から来た友人家族と朝食をとり、ハウステンボス駅からシーサイドライナーで長崎市内へ向かう。
寝息を立てる娘の横で大村湾の風景がただ美しくて吸い込まれるようにながめながら音楽を聞いていた。
子供が生まれてから子育てに追われて、奥さんの実家以外で関東県内を脱したのが久しぶりだったのもあって、夏の空がただ自分の現在地を映し出しているようで不思議な感覚だった。
綺麗な海と空が続いているというだけでとても気持ちが落ち着いた。

長崎に着き、駅ビルの回転寿司を食べて甘い醤油に九州を感じた後、路面電車でホテルへ向かう。
とても混み合っていたが、嫌がる子供に快く席を譲ってくれた。
夏の長崎市内はただ熱くて結局観光できたのは大浦天主堂と出島だけ。
夜にいった江山楼ので初めて食べた本場のちゃんぽんも海鮮パン麺も、いつも東京でたべるそれより、数倍コクがあって美味しかった。

帰りの飛行機に乗る前、空港でいつかの藤原新也のコラムで読んだ五島うどんを食べた。
地獄炊きというなぞのネーミングにざわつきながら、椿油でコーティングしてあるつるっとした独得の歯ごたえに、味わったことのない感触ってたくさんあるんだなと、僕の探究心をくすぐってくれたようで嬉しかった。

行けなかった平和公園や原爆資料館、軍艦島にはまたいつか。
また九州が好きになったよ。

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