moratorium summer

パパ虹が出てるよ。
仕事中部屋に入ってきた子供からそう言われて窓の外を見たら、本当に微かに虹が出ていた。

本来ならば華々しい季節になる予定が、蓋を開けてみればなんだこれは。
朝起きてから寝るまでずっとディスプレイを眺めて、無常に時だけが流れていく。

「モラトリアムサマー」とクリスペプラーは呼んでいた。
今年の夏休みは家族の事情で9月に取ることにしたのでお盆も通常営業。
それはいいんだけどどこにいくにも予約が必要で、区民プールの予約に何度も失敗して、暇を持て余した子供をプールに連れて行けることもできない。

ふと、今年の夏は何も思い出を残してあげれないんじゃないか。
奥さんの実家の海にも連れて行くことも、夏祭りや花火、その他たくさんの思い出も、見えないウィルスのせいでかきけされてしまった。
振り返ったときに何も思い出がない夏になろうとしていることに焦った僕は、屋上にタープを張り、トイザラスで買ったプールに空気を入れて、YOUR SONG IS GOODの曲をBluetoothスピーカーで流してプールに浸かる。
今はそうやって楽しむしかない。

屋上に貼ったタープの下のプールで子供が楽しそうに笑っている。
これはこれで幸せだけど、これでいいのか。
人生はもっと自由で、可能性に満ちているはずだ。
ハライチのターンでも、浴室で遊ぶ子供達の横でFUJI ROCKの配信を見ていた澤部が同じようなことを話していた。
コロナが終わったら○○しよう、そんなセリフもう聞き飽きたよ。
近所のジャズバーはもうあkっぱなしで営業を再開している。
本当に無常な夏に、スカイツリーにかかった虹は、どこにもやりようがない想いを象徴しているようだった。

照りつける陽の下で
流れる水につかり君をわすれ 暑さをしのんでいる
かげろうがじゃまする ぼくの視界をじゃまする
去年は君と泳いでいたのに
暑い夏の陽よどうしてのりきれば
このままではすべて流れて行きそうで
bloodthirsty butchers – 七月

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