幼児の終わり

朝、寝室からリビングに降りると、娘の歯が抜けたと報告があった。

前日からぐらぐらしてるからもう取れそうだよ、とそわそわしていて、寝ている間に抜けたらしい。
なんだかそれを見てすごく感動してしまった自分がいた。
人が赤ん坊から幼児、そして児童、青年と成長していくその過程の中で、そのことがはっきりと幼児という期間の終わりの始まりを予感しているような気がした。

近頃、やたらと大きく感じる。
この一年で、会話の内容や物事の伝え方も上手くなり、ひらがななら手紙をかけるほど文字も書けるようになった。
気がついたらだいぶ背筋がしゃんとしている。
抱っこしてと言われても、抱えた重さに驚いて、これはもうすぐできなくなるなと思う。
隣に寝返りしかできない赤ん坊がいるせいで、5年という歳月の成長を余計に感じることができる。
この前入園式をしたと思っていたのに、幼稚園もあっという間に年長クラスだ。
いつも行っている銭湯の男湯にも、あと3年もすれば一緒に入れなくなるのだろう。
ぱぱだいすきと、あと何回似顔絵を照れずに書いてくれるだろうか。
発表会で見たお遊戯の3匹のくまは、寝かしつけのときによく読んでいた本だ。ちゃんとできていた。

これからもっと、その幼児から子供へ変わっていく瞬間が沢山訪れるだろう。
きっとその時間はもう短いから、僕の目が届かなくなるまで、その一つ一つをしっかりと見守っていたい。
うっすらと生えてきた永久歯を、妖精さんがくれたんだよと、嬉しそうに見せてくれる。
そんな2月のある朝の出来事。

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