20141126 DAY 6 – Musée du Louvre –

6日目

旅の疲れもたまってきて、少し遅く起きる。
眠い目をこすり冷蔵庫からオレンジジュースとヨーグルトを取り出し、それをクロワッサンとバナナを一緒に流し込む。

窓からエッフェル塔が見えると、ああ今パリにいるんだということを自覚させる。この日はルーブル美術館のある1区周辺、セーヌ川を挟んだエリアで過ごす。

 

メトロに乗ってパレロワイヤル・ルーブル美術館駅の階段を上がると、フランス国旗がライトグレーの空に揺れていた。
館の横を走るリヴォリ通りには無駄な広告など一切なく、周辺の重々しい建造物からもルーブルの威厳を感じさせる空気が始まっている。建物が歴史を武器に威圧してくる。

それもそのはず、ルーブル美術館はルネサンス様式のルーブル宮殿をそのまま美術館として利用していて、建物そのものが世界最大級の史跡となっている。
3万5000点以上のコレクションを抱え、年間の来場者は800万人を超え世界一入場者が多く有名な美術館といっていいだろう。
城門のような巨大なエントランスをくぐり、噴水に囲まれた透明なピラミッドが見えてくるだけでテンションがあがる。来ている人もやはりヒップで洒落た人がたくさんいる。

1日の来場者が3万人くらいでチケットは当然長蛇の列なのだけど、ミュージアムパスを事前に購入しておいたので、スムーズに入館できた。ピラミッドの中は巨大な吹き抜けになっていてそこから3方向に展示室が伸びている。
豪華絢爛な館内はとても広く、そこもかしこも美術品でいっぱいだ。全てを見るのは不可能なのであらかじめ何点か見たいものを決めていた。

 

 

NIKEのロゴの元になったという「サモトラケのニケ」は階段の踊り場にあった。ギリシャのサモトラケ島で発見された2000年以上前の彫刻が今もなお目の前にあるという奇跡に興奮する。頭部と果たしてどんな顔をしていたのだろう。その後も「ミロのビーナス」や「ナポレオン1世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」などを立て続けに名作が出現する。

「ナポレオン1世の戴冠式〜」はあまりの絵の大きさに呆気にとられ、日本に来た時に見たこともあるドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」を15年ぶりくらいにみてフランス革命の片鱗を感じる。

 

世界一有名な絵画の一つであるレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は「国家の間」という仰々しい名前の部屋が与えられている。中に入ると人だかりとロープに囲まれた3mくらい先に分厚い防弾ガラスに覆われたモナリザが見える。

一枚の絵のためにこれだけの広い部屋や距離がとられているのはやはり別格の扱い。なぜこの一人の女性の肖像画のために世界中から人が来るのか。この絵が醸し出すカリスマ性や独特の雰囲気や憶測の数々は離れていても確かに伝わってきた。この部屋にはスリが多いと聞いていたけれど、特にそれらしい人は見当たらなかった。

 

絵画の前で模写をしている人がたくさんいるのもこの美術館の特徴だろう。美術という文化とても身近で国民に根付いているように感じられた。

迷路のような館内を3時間ばかり見学し、昼時でどこも混んでいたので館内にあるPAULでランチ。
PAULは日本にも店舗がたくさんあるけれど、本場のお店に入るのは初めてだった。サンドイッチのセットを注文し、硬いバンズがとても美味しく、馬鹿でかいマカロンに奥さんもテンション上がる。
セットで頼んだFINLEYというジュースもとても美味しい。
歴史的な美術品と洗練された空気に圧倒され余韻に浸りながらメトロに乗り込んだ。

 

一つ先のシャトレ駅で降り、シテ島のノートルダム寺院へ。
上に登る階段は閉まっていたのでしまったので、1階のだけ館内を見学した。ステンドグラスの鮮やかな感じや地元の人の熱心に信仰する姿、そして厳かな雰囲気さすがは世界遺産。
ここも2019年に焼失してしまったので、今思えば行っておいてよかったなと思う。

隣のカフェで珈琲を飲み休憩。そのまま東側へ歩き、サン=ルイ島に渡る橋を渡る。ここに来る人の目的のほとんどはベルティヨンのアイスを食べること。
この日もかなり寒かったけど並んでいるほど大人気で、メニューを決めあぐねていたら、店員に圧をかけられ急いで注文。セーヌ川のほとりで震えながら食べたが、味はもちろん絶品でした。

その後バスに乗って左岸に渡り、パリ大学へ。購買の場所がわからずに大学を一周して体力を削られてしまった。金プリントが売り切れていたけど無事お目当のフーディを購入し購買を出た頃にはあたりはすっかり暗くなっていた。

そしてそそくさと昨日も行った北マレ方面に移動MERCIというショップへ。可愛らしい建物の中に洋服、生活雑貨から本までとても好みのものがたくさんありすごくよかった。そしてPopelinで一口サイズのシュークリームを食べたり、ポワラーヌでは明日朝用のパン・オ・ショコラを購入。

すっかり夜なってきたので夕食はポンピドゥー・センターの近くにある、Le Bouledogue というビストロへ行く。一度くらい本場のフレンチを食べたいと思っていたので、勇気を出していってみた。
緊張しながらドアを開けてみると入ってみると笑顔のギャルソンに窓際の席に通された。フランスの飲食店はどこも席の間隔が狭く、荷物を置くスペースもないけど、ここなら周りの会話も気にせず食事ができそう。

とりあえずFischerビールを注文して、ちびちび飲みながら注文を考える。
そしてメニューが全部フランス語のプレッシャーに耐えきれず血迷ってなぜかステーキのタルタルとサーモンのタルタルを頼んでしまう。
「どっちもタルタルだけどいいの?」っていう反応されたけど、もう当たって砕けろのジャパニーズ精神である。

ステーキと書いてあったので焼いた肉っぽいのが出てくると思いきや、当然サーモンのタルタルのサーモンが肉に変わっただけの料理が運ばれてくる。。
これにグリーンサラダとポテトが付いてこの値段はかなり良心的だけど、どちらも量が多くこれ食べたら他のもの食べられなくなるよ。。というくらい。
ただ味はどちらもすごく美味しい。本当に美味しい。何もかもが違う。
2つのタルタルをなんとか食べたあと、どうしても大好物の本場の鴨のコンフィが食べたいという気持ちを抑えられずコンフィ・ド・カナール シルヴプレ。
これにもサラダとポテトついてくるけど食べる?と言われたけど、食べられないよとやんわり伝える。


そして出てきた鴨のコンフィはものすごく柔らかい肉と旨味、一口でこの旅一番の忘れられない味になった。僕がもしアナザースカイに出るのならこの一皿を紹介したい、そう思わせてくれるくらい素晴らしい料理だった。
注文は失敗したけれど、それでもいいと思わせてくれるくらい僕はこのお店が好きになった。

失敗も良い経験になるのが旅の良いところだと思う。

あとで振り返って笑い話が一つ増えると思えばなんでもない。
奥さんにこの失敗のことで10年後も笑って欲しい。
そんなことを思いながら帰路につく。

明日は最終目的地というべき場所へ行くものすごく楽しみな日。
早起きなので早めに就寝。

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